簿記論・財務諸表論Ⅳ
本支店会計等
講義時間:17時間
現金預金、手形、有価証券、商品売買、帳簿組織といった、昔は、日商2級で学習していたような伝統的な個別論点や本支店会計、キャッシュ・フロー計算書を学習します。
伝統的な個別論点や本支店会計は、税理士事務所のクライアントとなっている中小企業の会計でも、よく目にする論点なので、実務上も大切です。また、中小企業には、キャッシュ・フロー計算書の作成義務はありませんが、会計事務所がサービスの一環として作成することも多く、一通り理解しておかれると良いでしょう。
税理士試験では、伝統的な個別論点や本支店会計は、「理解していて当然」という位置づけになるので、しっかりと学習しておく必要があります。
なお、新収益認識基準の適用により、割賦販売の出題可能性は低くなりますが、法人税法が一定の要件の下、令和5年3月末まで延払基準の適用を認めているため、テキストに残しています。
現金預金関連の取引も図解を用いて詳説します。二重仕訳控除の構造と計算方法も一目で理解できます。荷為替の仕組みも図解でスッキリ学習できます。
3・2級の取得時期にかかわらず、上級教材を受講していただけるよう配慮して、簿記論・財務諸表論Ⅲ・Ⅳのテキスト及び問題集を制作しています。
日商検定の学習範囲から除外されている分野について
1. 為替手形
第2章で学習する 「為替手形」は、日商検定の出題範囲から除外されていますが、会計士試験や税理士試験では試験範囲に含められており、会計士短答式の2018年第2回、2019年第1回で出題されています。受取手形自体が2026年(令和8年)をめどに利用廃止となる予定なので、将来、会計士試験や税理士試験でも出題されなくなりますが、しばらくは、引き続き学習しておく必要があります。
一般的な受験校で、日商1級コースを申し込んでも、「為替手形」を学習する機会はありませんが、日商1級コースの受講生が、公認会計士講座や税理士講座にスムーズにステップ・アップできるよう、 「為替手形」を本教材で取り扱うこととしています。また、荷為替の仕組みはについても、今後、日商試験では出題されないことになりますが、会計士試験や税理士試験で試験の範囲外とはされていないので、第5章で引き続き講義を行っていきます。
2. 帳簿組織
かつては日商2級で学習していた特殊仕訳帳と伝票会計 (5伝票制)が日商簿記の試験範囲から除外され、日商1級でも出題されないことになりましたが、会計士試験や税理士試験では、帳簿組織は出題範囲のままです。そこで、帳簿組織の学習経験がない受験生のために、旧2級テキストで学習していた帳簿組織の内容も含めて、第6章で学習できるようにしています。
「二重仕訳控除」の論点なども日商1級試験では出題されませんが、 「二重仕訳控除」を含む特殊仕訳帳の構造理解は、経理全般の管理責任者となるであろう日商1級合格者に必要な素養です。試験に出題されるか否かにかかわらず、学習されると良いと思います。