簿記論・財務諸表論の学習方法
税理士試験
財務諸表論について
制限時間: 120分
配点: 100点
出題と配点の目安
理論問題: 小問形式 (10問前後)で 50点
計算問題: 総合問題 (貸借対照表・損益計算書の作表)で 50点
理論問題は、会計基準の穴埋め問題と3行までの記述問題を中心に構成されます。記述問題は会計処理等の論拠を問う問題がほとんどです。
総合計算問題は、貸借対照表・損益計算書の作表問題に、販売費及び一般管理費や売上原価の内訳、繰延税金資産、製造業であれば製造原価の明細表などの注記情報を組み合わせて出題されています。
学習方法について
理論問題
穴埋め問題は、企業会計原則と会計基準からの出題の他に、架空の企業が行った注記の文章に語句を当てはめさせる問題も出題されています。いずれにしても、当てはめる語句は会計用語ですから、企業会計原則と会計基準について対策すれば良いと思います。テキスト章頭の会計基準等の抜粋を活用して下さい。
記述問題は、現行の会計処理だけでなく、会計基準設定時に検討され不採用となった会計処理の論拠についても問われています。現行の会計処理と対比させながら理解し、覚えていく必要があるでしょう。 また、一つの会計処理にも、資産・負債の評価の側面と費用・収益、損益計算の側面というように複数の論拠が指摘される場合があります。その中から解答すべき論拠を選択するためには、1問1答のように暗記しても対策にはなりません。理解を伴ったキーワードやキーフレーズの暗記、それらを出題意図に合わせて組み立てられる応用力が必要でしょう。
計算問題(総合問題)
時間内に十分消化できるボリュームの出題になっています。
個別論点を確実に積み上げて、作表していく問題が中心ですから、個別論点の基本的会計処理は確実にマスターしていきましょう。
テキストでは、基本的な知識・会計処理を、計算問題集では、できるだけ網羅的に会計処理のバラエティを確認して頂きます。 まず、会計処理 (計算)を確実にし、次に会計基準で理論的に確認しながら両方定着させるのが効率的でしょう。
簿記論について
制限時間: 120分
配点: 100点
出題と配点の目安
第一問: 複数の論点を組み合わせた複合問題で 25点
第二問: 複数の論点を組み合わせた複合問題で 25点
第三問: 総合問題(決算整理後残高試算表や財務諸表の作成)で 50点
合格点は、素点で40点~50点程度の場合が多く、量的に全てを解きにいくことは出来ません。専門学校で模範解答を作成するのに3日かかった年もあるくらい量が多く、資料の不整合も散見されるため、あまり細部にこだわらずに、得点できる箇所を拾っていくことになります。合格者の平均点が60点程度の問題であれば、普段の実力通りの試験結果になりますが、現在の簿記論の試験は、手を出さない方がよい問題に時間を費やしてしまうと、簿記の実力のある方でも足きりにあってしまいます。
点数を拾っていくためには、個別論点の会計処理がしっかり出来るようになっていることと、適切な下書きを迅速に作成することが出来ることが要求されます。
学習方法について
総合問題のなかで与えられる各財務諸表項目の取引条件等は、基本的な処理を求めることが大半ですから、まずは簿記論・財務諸表論ⅠⅡのテキストの最初の設例になるような基本的な処理を確実にマスターしましょう。次に、一部の財務諸表項目で必要となってくる応用的な処理も確認していきます。例えば、リース取引であれば残価保証であったり途中解約があったりというような処理です。あまりに複雑でマイナーな取引条件の処理は総合問題の中では出題されにくく、簿記論の個別問題では出題されるので、順番としては最後に取り組みます。簿記論の個別問題では、仕訳問題も頻出ですから、財務諸表項目の残高や変動額が計算できるだけでなく、期中の仕訳も含む一連の会計処理を仕訳で確認しておくことも忘れないでください。
簿記論・財務会計論Ⅲ(連結会計)
FINでは、個別論点の会計処理のほとんどを簿記論・財務諸表論Ⅰ・Ⅱで学習することにしています。
簿記論・財務諸表論Ⅲは、税理士試験では、あまり出題されることのない連結会計、企業結合、事業分離を取り扱ったテキストです。 あまり出題されませんが、何度か出題されています。 出題頻度からすれば、学習に力が入らない分野ですが、逆に、学習しておけば、出題されたときに大きなアドバンテージが得られるはずです。 連結会計については、税理士、日商、会計士短答式の過去問が同レベルなので、これらに照準を合わせてテキストを制作しています。
連結会計は、頑張って解けるようになっても、しばらく、触れないでいると、すぐに解き方を忘れてしまいます。テキストや問題集に入っている良問を解いた際の下書きを残しておいて、二巡目からは、その下書きを見ながら解くようにすれば、それ程苦にならずに、実力をキープできます。
簿記論・財務会計論Ⅳ(本支店等)
連結会計以外の総合問題対策を行います。具体的には、現金預金、手形、帳簿組織、本支店会計、商品売買、事業分離、キャッシュ・フロー計算書などを取り扱います。
税理士試験の簿記論では、帳簿組織や本支店会計について問われることが多いので、日商2級で取り扱うような論点も、復習も兼ねてしっかり説明します。
このあたりは、実際に総合問題を解かないと、力がつきません。計算問題集Vol.3で個別論点を整理し、1級や税理士の過去問をベースに作成した総合問題集を反復練習することによって、合格レベルまで引き上げていただきます。