入門期の学習方法
簿記検定3級・2級
入門Ⅰでは、日商3級商業簿記を、入門ⅡⅢでは、日商2級商業簿記と工業簿記を学習します。
FINのホームページで無料受講できる3・2級講座と同じ内容になりますが、製本化されたテキストを利用して受講することができます。
入門Ⅰ・Ⅱのテキストには、「書込式」と 「書込済み」の2種類のテキストがあります。
以前、大手専門学校の講師時代に、「書込式」と 「書込済み」のレジュメを使ったクラスを実験的に作って比較したことがありますが、「書込式」のレジュメで講義したクラスの方が明らかに成績が良かったです。
特に、上級期での成績の伸びが違いました。簿記を日本に伝えた福澤諭吉も、「簿記は丁稚の学問」と言っています。「習うより慣れろ」、 「手を動かそう」ということです。
ただし、初学者の方から、「復習用にコンパクトな書込済みテキストがあれば便利!」、また、2級合格者レベルの方からも、「資料として入門テキストも持っていたい!」といった声がありましたので、入門Ⅰ・Ⅱについては、B5サイズの 「書込済みテキスト」もご提供しています。
なお、上級のテキストは全て、「書込済み」ですが、上級講義中の講師の書き込みを自分のテキストに書き加えていくようにして下さい。これも、専門学校の講師時代の経験談ですが、テキストに色々と書き込んでいる受験生の方が合格率は”圧倒的に”高かったです。 頑張って、書き込みましょう。
学習方法について
入門Ⅰ(3級商業簿記)
世間での評判は、「日商3級なんて簡単」、そして、「1週間の勉強で合格した」といった声も聞きます。 確かに、 70点で合格するのは難しくはないですし、自分が学習したことしか問われなければ、満点も取れるかも知れません。 しかし、将来、日商1級、税理士、会計士を目指すのであれば、入門Ⅰの教材に1ヶ月以上かけても構いません。
3級では、商品売買、有形固定資産、営業債権・債務に関する会計処理や、日常取引の仕訳 → 試算表の作成 → 決算整理仕訳 → 精算表の作成 → 財務諸表の作成といった、簿記一巡について学習します。これらの論点は、日商1級、税理士試験、公認会計士試験へと駒を進めていく場合にも、ずっと使える大切な基礎知識です。最初なので、暗記事項が多くて辛いですが、上級期に移行してからも入門テキストを振り返るようにすれば、自然と身につくので、焦らず、ゆったりとした気持ちで進めていくのが良いです。
計算問題集Vol.0では、日商3級の本試験の出題形式に合わせた仕訳、帳簿記入、試算表、精算表の作成問題を掲載しています。精算表の作成問題は、かなり本格的なもので、このレベルの問題を克服できれば、自信を持って2級に進むことが出来ます。なお、日商の本試験では奇抜な問題が出題される傾向にあるため、純粋に簿記の実力を試すには、全経簿記検定の方が向いています。
最後に、全経3級対策の問題も入れておきましたので、こちらもご活用下さい。
入門Ⅱ(2級商業簿記)
入門Ⅱでは、3級で学習した個別論点の補強と本支店会計、連結会計等を学習します。 2級の本試験で、難解な連結の問題が出題されるようになったので、連結会計に関しては、 一般的な日商2級のテキストよりも学習範囲を広くしてあります。
個別論点はもちろんですが、本支店会計や連結会計などの構造問題においても、取引や会計処理に対する 「仕訳」が適切に行えるようになることが最重要課題です。簿記は、「仕訳」です。資料に与えられた取引に対する仕訳を下書きする際に、まず、勘定科目を借方と貸方に書いて、あとから金額をあてはめていくイメージです。 間違いやすい仕訳だけをノートに書き留めて、今のうちから、自分だけの仕訳ノートを作ると、あとあと心強いツールになってくれます。
簿記に没頭していくと、最終的には、電卓だけで解答するようになれるかも知れませんが、少なくとも、入門Ⅱの学習期間中は、「仕訳」中心で学習されると良いでしょう。
商業簿記の中では、連結会計が最高峰に位置づけらます。
計算問題集Vol.0には、日商1級と2級の中間くらいレベルの総合問題を6問掲載していますので、この6問を使って、2級の連結会計を克服して下さい。
本支店や連結会計の総合問題で、貸借がビシッと一致した財務諸表が作成できるようになると、簿記は、本当に楽しいです。
入門Ⅲ(2級工業簿記)
2級の工業簿記対策としては、ややオーバースペックな内容ですが、ここまでしっかりと学習しておくと安心です。日商2級を受験せずに、税理士簿財の合格のみを目指す場合には、第1章だけで良いと思います。ただし、第1章だけは、完璧にマスターして下さい。また、日商1級や会計士を目指されている方には、これ以上ない入門テキストになります。もともと、会計士試験の管理会計論用に制作されていますが、1級の工業簿記・原価計算にもピッタリです。
学習方法は、第1章から順に受講していただいて、最終章の練習問題で仕上げるといった、オーソドックスなものになります。
製造業の原価計算を中心とした特殊な世界なので、学習していて、「これ、役に立つのかな?」という疑問がわいてくると思います。
監査法人に勤めるようになると、自分の担当するクライアントの中に、大抵、製造業が含まれていますし、短答式でも論文式でも、計算部分は満点の狙える戦略科目なので、会計士を目指される方は、得意科目にして下さい。また、税理士事務所でも製造業をクライアントにしているところは多いので、税理士志向の方も、時間に余裕があれば、一通り目を通しておかれると良いでしょう。ただ、自分が製造業以外の会社の経理に勤めているのであれば、全く使わない知識になってしまいますので、自分の将来のポジションに照らし合わせて、工業簿記とどの程度向き合うべきかを考えて学習して下さい。