管理会計論Ⅱ
講義時間:20時間
財務情報分析から事業部制組織の管理までを学習します。管理会計論Ⅱの第3章~第6章の範囲は、論文式試験でもよく出題される分野なので、しっかり学習しておきましょう。
第1章は、財務情報分析です。安全性分析や収益性分析といった典型論点が繰り返し出題されています。昔は、試験委員の著書を読んでいないと解けないような出題もありましたが、最近は、得点源としておきたい分野といえます。
計算だけでなく、理論も問われるため、指標の暗記のみに走るのではなく、指標の意味や分解分析の意図も理解しておく必要があります。 そこで、回転率や回転期間についても、簡単な設例を使って、その意味するところを分かりやすく解説しています。この辺りの理解が深まれば、財務レバレッジに関する出題にも十分に対応できるようになります。
また、資金管理も本章で取り扱います。資金管理の計算は、時間内に解けない過去問が多く、Cランクとされるのが通例ですが、一方で、資金管理の理論は比較的解きやすいです。テキストでは、難易度の高かった過去問を収録し、解説を行っていますが、資金管理については、「計算なら捨てて、理論なら解きにいく。」といったスタンスをとるのが賢明です。ただ、計算も出題パターン自体は限定的なので、過去問解説の充実している本テキストで学習することで、「他の受験生が得点できる問題は落とさない。」といった実践的な対応ができるようになります。
第2章の戦略的コストマネジメントは、ほぼ理論問題での出題になります。重要概念について、学者ごとの定義づけまで追いかけ始めると、学習量が膨大になってしまうため、重要な論点は詳細に解説しますが、そうでない論点はコンパクトにまとめています。コンパクトですが、高い確率で正解に辿り着ける内容となっています。また、過去に出題範囲として明記され、現在では除外されているバランスド・スコア・カードやマテリアル・フローコスト会計なども、短答式、論文式を通じて出題されることがあるため、参考資料として、テキストに収録し、解説講義データもお届けするようにしています。
第3章の利益管理では、営業利益の予実分析、前期と当期の比較分析といった分野を学習しますが、短答式試験では、あまり出題されなくなっています。苦手にする受験生が多い分野ですが、過去問は、分析図にあてはめるだけで正解できる問題しか出題されていませんし、論文式試験で出題される可能性があるので、短答対策の段階で、しっかりと学習しておきたい論点です。ここは、分析図の書き方を暗記すれば、定型的に解答できるようになりますが、中々覚えにくい図です。そこで、分析図の構造や特徴を丁寧に解説し、暗記を補助します。分析図を暗記しておけば、出題された場合に、おいしい得点源になるはずです。
第4章と第5章の意思決定は、苦手にする受講生が多い分野なので、得点できれば、アドバンテージが得られます。また、論文式試験では最もよく出題される分野なので、短答対策の段階から、できるだけ多くの計算パターンに触れておくのが良いと考えています。そこで、不確実性下の意思決定やリース、企業価値の計算も含め、想定されるあらゆる計算パターンを一つ一つ解説しています。この辺りは、図を多用したフルカラーテキストが真骨頂を発揮する分野でもあります。
第6章は、事業部制組織の管理です。計算・理論共に、内部振替価格の決定と事業部(長)の業績評価が中心的論点となります。奥の深い分野なので、論文式試験では難易度の高い良問が繰り返し出題されていますが、短答式試験での出題実績は中程度で、癖のある問題が多い印象です。短答対策としては、やや過剰となりますが、計算例を用いて、社内借入金制度、社内資本金制度、様々な内部振替価格の計算パターンまで学習します。また、短答式の計算で、ミニ・プロフィット・センターの問題が出題されることがあり、これもかなり癖のある論点なので、当該論点やシェアード・サービス・センターなども取扱い、しっかりとした短答対策を行います。