工業簿記・原価計算Ⅱ
講義時間:20時間
財務情報分析から事業部制組織の管理までを学習します。
第1章は、財務情報分析です。日商1級では、ほとんど出題されることはありません。ただ、実務上、会計ソフトが自動で、安全性分析や収益性分析で利用する指標を算定してくれることが多く、その内容を知っておくことも有意義なので、自己啓発の一環として学習されるとよいと思います。回転率や回転期間についても、簡単な設例を使って、その意味するところを分かりやすく解説しているので、指標の暗記に走るのではなく、指標の意味や分解分析の意図も理解するように心掛けて下さい。
また、最近、会計士試験でよく出題されるようになった資金管理も本章で取り扱います。第152回でも出題実績があり、今後も、出題される可能性はあると考えています。会計士試験では、時間内に解けないような過去問も出題されており、苦手にする受験生も多い分野ですが、本テキストで紹介している計算パターンだけでも学習しておかれたらよいと思います。
工業簿記・原価計算Ⅱをしっかり学習しておくと、本試験で大きなアドバンテージとなります。
第2章の戦略的コストマネジメントは、ほぼ理論の穴埋め問題での出題になります。品質原価概念も出題実績がありますし、原価企画や原価低減の手法、具体的には、マーケットベースの価格設定や目標原価の設定、バリューエンジニアリング(VE)や価値連鎖などについて問われたことがあります。ただ、BSCやマテリアルフローコスト会計などについては、出題実績がないので、さらりと確認する程度で良いでしょう。
第3章の利益管理は、営業利益の予実分析、前期と当期の比較分析が頻出分野です。苦手にする受験生が多い分野ですが、過去問は、分析図にあてはめるだけで正解できる問題しか出題されていません。分析図の書き方を暗記すれば、定型的に解答できるようになりますが、中々覚えにくい図です。
そこで、分析図の構造や特徴を丁寧に解説し、暗記を補助します。分析図を暗記しておけば、出題された場合に、おいしい得点源になるはずです。
第4章と第5章の意思決定は、「出題して欲しくない分野No.1」だと思いますが、毎回のように出題されます。苦手にする受講生が多い分、得点できれば、アドバンテージになります。業務的意思決定も設備投資の意思決定も、出題パターンに合わせて、定型的な下書きが書けるようになると、正解率がグンとアップします。不確実性下の意思決定やリース、企業価値の計算も含め、想定されるあらゆる計算パターンを一つ一つ解説します。
機能的に色分けした解説図を利用していただくことで、より短時間で、深く理解していただけるはずです。
最後は、事業部制組織の管理です。計算・理論共に、内部振替価格の決定と事業部(長)の業績評価が中心的論点となります。日商1級での出題頻度が高くない分、他の受験生が
手薄になっています。他の専門学校では、ここまでは学習していないと思いますが、奥の深い分野で、管理者になったときに役立つ内容なので、是非、真剣に取り組んでみて下さい。